源氏物語「帚木(ははきぎ)」
17歳になった光源氏は近衛の中将となり世間でも評判の美男子でまさに光り輝いていました。それでいて才能もありましたので、女性のあこがれの存在となりました。
(映画のなかでの源氏の君を演じられている生田斗真さんですね。)↓
出典:源氏物語 千年の謎
光源氏の義理の兄(葵の上のお兄さんでありいとこ)である頭中将(とうのちゅうじょう)は光源氏よりも6歳年上ですが二人はとても仲が良く、一緒に学んだり遊んだりしていました。
さて、梅雨のころ雨がしとしと降り続いている夜でした。いつものように忙しいというようなこともないので、源氏の君は宿直所で本を読んでいました。
すると頭中将(とうのちゅうじょう)がやってきて厨子(化粧道具や手紙などを入れておく戸棚)の中の手紙の中には恋文もあるのでしょう?見せて下さいよ。と言いました。
源氏の君は「まあ、差支えのないものなら少しだけ」と言って見せてあげると、頭中将は「その隠してある手紙の方こそ興味があるなあ・・・」と言いながらも、見せてもらった手紙を読んで「この手紙はあの女性からか?これはあの女性からだろう」と勝手に推測しては楽しんでいました。
「あなたの方こそ色々と恋文がおありでしょう?見せて欲しいものです」と源氏の君が言いますと、そこから頭中将の女の人の話がはじまりました。
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頭中将(とうのちゅうじょう)が理想の女について話し始める
「理想的で完璧な女性というのは、本当になかなかいないということが最近わかってきました。とても素敵な手紙を書いたり、それなりの素晴らしい挨拶をする人は結構いるけれど、
そういった女性よりももっと抜きん出て優れている女性に会ってみると、プライドが高く、人をばかにしたような態度をとったりするので、そんな女性は話になりませんよ。
また良家の箱入り娘などは、とてもいい噂が流れてきて、会ってみたいと憧れるけれど、たいがいその噂は身内からのもので、悪いことは言うはずもありません。
ですが、実際会ってもないのにたいしたことはないじゃないかと判断もできませんし、かといって信じて結婚してしまったら欠点に気づかずに一緒に過ごせることはまずないでしょう。」
と頭中将はがっかりした様子を見せました。
そして「上流の女は親から守られていて一目につかないようにされて奥ゆかしく魅力的に感じるが、中流の女は隠されていない分、個性が見えて面白い。そして、下流の女は特に興味を持てません。」と頭中将が話すと、
「その上流、中流、下流といっても、もともと身分は低いが出世した方もおれば、身分が高かったのに落ちぶれてしまった方もいるではないですか。どうやって判断するのですか?」と光源氏は質問しました。
源氏物語のあらすじ「雨夜の品定め」~帚木2~へつづきます。
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