源氏物語のあらすじ~空蝉(うつせみ)~

前回までのお話はこちら

源氏物語あらすじ「雨夜の品定めから空蝉との出会い」~箒木4~

源氏の君は方違え(かたたがえ)に行った紀伊の守(きのかみ)の家で、伊予の介(いよのすけ)の後妻さんに出会い、一夜を過ごしました。

その後、何度も手紙を渡しましたが、返事はなく、やっと会えるチャンスがあったので、会いに行ったものの、女は隠れてしまって探せず、会えませんでした・・・。

源氏の君、空蝉のことが忘れられない

女が隠れてしまって、もう見つけることもできずどうしようもないので、その日は夜中に源氏の君はお帰りになった。

これまでこんな風に人に嫌がられたことがなくて、始めて恋愛の辛さを知った。恥ずかしくて生きていけない。と女のことが憎くて、自分が恥ずかしく思われたが、でもやはり気持ちを断ち切ることができずにいました。

女への手紙もその日以来、出さずにもう忘れようとしていたけれど、どうしてもできない。

「お願いだから会う機会を作ってはくれないか?」

と源氏の君は女の弟に頼みました。

空蝉と西の御方(にしのおかた)

しばらくたった日のこと、紀伊の守(きのかみ)が留守にしているなどでちょうどよい機会があり、女の弟が源氏の君を迎えに来たのです。

こっそりと裏から源氏の君に入ってもらうことにしました。

すると、その近くで女房達が「西の御方(にしのおかた)が来て囲碁をしています」と話しているのが聞こえました。

源氏の君がそうっと部屋に近づいてみると、暑かったのだろうか、屏風もたたまれていて中がよく見えたのです。

中には源氏の君が会いたくて仕方がなかった女(空蝉)がいました。小柄で痩せていて、着物で顔を見えないようにしている。

そしてもう一人は西の御方だろうか。だらしない恰好で囲碁を打つ様子が見える。けれども、色白で顔だちはとても綺麗で髪も豊かでとても美人な方でした。

大柄で朗らかで明るい西の御方は、話している感じが少しがさつな感じでもう少し上品だったらなあと源氏の君は興味深く見ている。

口元を着物で隠しているけれど空蝉の方も着物の間から、少し横顔が見えていたので、じっと観察してみると、目は腫れぼったく、鼻すじも通らず、顔の華やかさもない。ただ、仕草や振る舞いが上品で美人に思えてくる。

西の御方の方が明るくて美人で華やかな女性だけれど、自分としては地味でもこういった気品のある女性が好きなのだなあと思わずにはいられない。

ようやく夜になって、弟は源氏の君と姉とを会わせることにした。

弟の方も姉は頑固なので、会ってあげて欲しいと伝えても会ってくれないのはわかっていたので、いきなり源氏の君を部屋に入れようと考えていた。


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セミの抜け殻のように

皆が寝静まった頃、静かに源氏の君を部屋に引き入れました。

女は、源氏の君からぱったりと手紙がなくなってしまったので、これでよかったのだ。と安心するものの、やはり二人で過ごしたあの夜のことが忘れられずに悩んでいて、今夜も眠れずにいた。

同じ部屋には先ほどの西の御方がぐっすりと眠っているようだ。するとどこからか、あの日と同じようにとてもよい香りがしてきた。ふと見ると人影があり、こちらに向かってくるようである。

女はすぐにそれが誰なのかを気づいて、一枚だけ着物を着て、あとの着物をその場に残してすぐに抜け出しました。(まるで蝉の抜け殻のように着物だけが残されていたので、この方のことを空蝉と呼びます)

源氏の君は部屋に入って女のそばまでくると、てっきり空蝉だとばかり思ったのに、よくよく見てみると西の御方だった。

これほどまでに冷たいのか・・・と女に対して腹が立ちましたが、あの女は世間体をすごく気にしていることがわかっていたので、やはり間違えたということを悟られてはいけないと思い、西の御方にはやさしく愛を伝えてその場をつないだ。

この女も美人で明るく可愛らしいのだが、この先、惹かれることはないだろうなと思いながら、空蝉のことを憎らしいと思うのである。

空蝉の脱いだ着物を持って、源氏の君は部屋を出られた。

帰り道、車の中で弟に姉への恨み言を言ったりもしていたが、源氏の君はさきほど持って帰ってきた女の着物を抱えて、愛おしい気持ちなどもお話しになった。

そして、思いついたように歌を詠んで紙に書き、

うつせみの 身をかへてける 木のもとに なほ人柄の なつかしきかな
(空蝉のように着物だけが残されていても、それでもあなたのことを思い出して胸がいっぱいになる)

源氏の君は女の着物が懐かしい香りがして、愛おしいのでそばに置いているのだった。

それから弟が姉に会うと、姉の方はずいぶん怒ってはいたが、源氏の君の様子や手紙を読むと、また気持ちが乱されて、あの持っていった着物は汗臭くはなかっただろうか?などと心配になったりもしてくる。

ああ結婚前だったらどんなによかったことだろうか・・・と思い悔やまれて、でも今となってはどうすることもできない。そんなことばかりを考えてしまって辛い。女は源氏の君が書いた字の横にそっと、こう書いた。

うつせみの 羽に置く 露の木隠れて 忍び忍びに 濡るる袖かな
(せみの抜け殻についた露が木に隠れて見えないように、私も誰にも気づかれないように袖を濡らしています)

空蝉

感想

旦那のいない間にこっそりと忍び込む。そして、気づいた空蝉がとっさに着物を置いて逃げる!空蝉と間違えた源氏の君!すぐに機転を利かせて西の御方(にしのおかた)を口説いて自然にふるまう。

想像するとなかなかスリリングな夜ですね💦💦

空蝉の抜け殻作戦にあっと驚きました。賢くて理解が早くて、隙がない!!源氏の君でも落とせないはずです。

この空蝉さんのモデルは紫式部自身だった。という説がありますが、本当にそうかもしれないと私も思いました。

誰もが憧れる高貴な美男子から猛烈にアタックされるとか、急に抱きかかえられて愛をささやかれるとか、何度ふっても迫ってくるとか、、、妄想ですよね。紫式部さん。て感じですね。こうだったらいいのに~が詰め込まれてる気がします。

世間が認める容姿の美人はいるけれど、空蝉は、はっきり言ってそんなに綺麗ではないけど、立ち居振る舞いが美しくて俺は好きだぜ♡とかは本当に少女漫画の世界ですね。

目立たない平凡な私に学校一優秀でイケメンな彼が私に惚れてる~みたいな感じでしょうか・・・(;´Д`)

でも、このお話しは空蝉の後悔や世間体など、何かこうウツウツとしたものを感じます。自由な心を押し込めて、隠して、仕方がないのだという諦めが源氏の君によって自分の本当の心がわかって気づいてしまい、より苦しくなったのではないかと私は感じました。

また、その思いは紫式部も同じだったのでは?と思います。世間体を考えてたくさんのことを我慢して頑張っていたのかもしれません。


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